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院長コラム「アトピー性皮膚炎の最新知識:プロアクティブ療法」

アトピー性皮膚炎の診断(以下の1、2、3の項目を全てふくむ)

1)痒みがある

2)湿疹の種類と場所の特徴

    種類:赤い、カサカサ、でこぼこ、円型にゴワゴワ、ジュクジュク

    場所:左右対称で、目の周り、口の周り、耳、首、手足の関節、胸、お腹、背中

3)よくなったり悪くなったりが半年以上(乳児では2ヶ月以上)

 

アトピー性皮膚炎の原因

フィグラリンという遺伝子に異常(遺伝子変異)があるために、皮膚表面のバリア機能が壊れてしまうことが知られています。皮膚のバリアが壊れると、皮膚の炎症が起こりやすくなります。

 

アトピー性皮膚炎の治療

1)悪化させる要因を取り除く(ほこり、ダニの掃除、ペットを飼わないようにする)

2)スキンケア:全ての場所に石鹸を使って洗います。ジュクジュクしていようが赤かろうが、痛そうだろうが、とにかく泡を立てた石鹸を、病変部やその他にも、スポンジ、綿、ガーゼなどは使わず、こすらないように手指で塗り入念に洗います。洗った後は、お湯で洗い流し、タオルでこすらないように押し拭きします。

3)塗り薬による治療(皮膚のバリアを正常に戻すことが目標):ステロイドをうまく使うのかコツ

#まず、保湿剤を基本にする。保湿剤は、ヘパリン類似物質や、プロペト(ワセリン)などがあり本人にあったものを使う。

#患部に保湿剤を塗った後、指定されたステロイドを使う。顔には、弱いステロイドを使用する。体や手足には中等度以上のステロイドを使う。

#良くなるまで、保湿剤の上からステロイドを塗ります。お風呂上がりが一番効果があります。症状が完全に治っても、保湿剤は続け、週に1−2回は保湿剤の上からステロイドを続けます。もし悪化したら元に戻します。治りが悪い時はステロイドを変更する必要があります。このように、治ったら全てをやめてしまわずに、保湿剤を続け、ステロイドを良くなっても週に1−2度塗る方法をプロアクティブ療法といいます。

これによって、繰り返さなくなり、しっとりとした正常な皮膚バリアをとりもどすことができます。

 ✳︎ステロイドは、ひと昔、重大な副作用があると、メディアで大きく取り上げられ、一時、民間療法、漢方、非ステロイドの色々な商品、飲み物などが出回りました。しかし、やはり、それらでは、どうしても綺麗な皮膚に戻すことはできないことがわかっています。やはりステロイドが最も有効であることがわかっています。そして、使い方さえ間違えなければ長く使用しても副作用は見られないことも立証されています。アトピー性皮膚炎の方は、ステロイドによるプロアクティブ療法をお勧めします。

令和2年12月

院長コラム
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