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コミュニケーションがとれない子どもたち

テレビ漬けの乳幼児に問題が

言葉がしゃべれない、友達と遊べないなどコミュニケーションに問題を抱える子どもたち、「新しいタイプの言葉遅れ」が近年増えているようです。
言葉遅れの子どもたちに共通するのは、運動機能や生活習慣は年齢相応に発達しているのに、言葉がほとんど話せず社会性の発達がみられないことです。
「親の言葉に反応しない、表情に乏しい、自分の考えを言葉で表現するのが苦手。こういった子どもたちが、最近、とても増えているのです。
これらの子どもたちは、自閉症などではなく、「生まれたときからテレビやビデオがついている環境で育った赤ちゃんや、親の語りかけに対して反応があり赤ちゃん言葉が育っていたのに、何らかの家庭環境の変化で生後1年頃からテレビ漬けになった赤ちゃん」が多いことがわかってきました。

生理的な発達に影響を及ぼすテレビ

赤ちゃんは生まれて1~2か月で泣き方を変えます。お腹が空けば泣く、痛くて泣く、不安で泣く。こういったことに、ひとつひとつ応えることで安心して泣き止み、気持ちよく感じるのです。
赤ちゃんにとって生後の1年間は、音を聞き分ける「聴く準備」の時期。次の1年間は「話す準備」の時期です。。この期間に、親の声を聞いたり口の動き方を観察したりしています。。
「子どもの脳には、言葉を覚える時期」があり、この時期に覚えないと後から取り返すのはなかなか大変です。
ところが、子どもへの語りかけをせず、子どもからの働きかけにも応えないで、テレビの一方的な情報に赤ちゃんをさらし続けると、肝心な心の発達に支障が起きます。これは良質といわれている教育番組や教材でも同じです。
また、テレビ画面ばかり見ていると立体認識が育ちにくくなります。そして、母親の匂いや心地良い触れ合いを感じることなく過ごすと、五感の発達に影響が出たりすることもあります。
さらに、テレビやビデオにはまって実体験が乏しいと、聞きなれない音に敏感になったり、極端な偏食や場所見知りをしたり、特定のおもちゃに固執するようになります。五感が育たないため、いろいろな感覚刺激に敏感に反応してしまうのです。

テレビを消して、1対1のコミュニケーションが大切

このような「新しいタイプの言葉遅れ」の治療には、テレビを消して保護者が1対1で子どもと遊ぶ事が大切です。子どもが小さければ小さいほど劇的に変化して、年齢相応の反応を示すようになるのです。
『アーアー』か『ウーウー』という声だけを発する言葉が出ない3歳の男児にたいして、母親にテレビやビデオを一切やめて、一緒に遊び、子どもの発した声を拾ってはオウム返しをするように指導したところ、1年後には『パパ、ブーブー』とか『アイスいる』といった短文を話せるようになったという事例もあります。
重要なのは「早く気がつくこと」です。1歳までなら1か月で見違えるように表情が豊かになります。3歳までならよくなる可能性はありますが、時にはコミュニケーションがとれないまま育つこともあります。
テレビはいつでもどこでも見ることができます。朝から晩までテレビをつけている家庭も少なくないでしょう。良かれと思って見せる教育番組やビデオの教材も例外ではなく、心が育まれる「刷り込みの時期」には生身の人間が話しかけ触れ合うことが大切なのです。
従来テレビなどへの批判は、暴力的であるとか肥満や視力への影響を懸念するものが多かったですが、それだけで済むものではなく、「テレビが作る言葉遅れ」は人として生きていく上でのコミュニケーション能力そのものが問題となるようです。テレビが作る言葉遅れの子どもたちが近年増加しています。

まとめ

1)新しいタイプの言葉遅れ」は自閉症の症状と同じです。自閉症と異なることに早く気がつけば、言葉が獲得されます。

2)テレビを消して、非指示的遊戯療法がうまく施行されれば、人間の刷り込みは成功します。

3)新しいタイプの言葉遅れ」は、早期発見ではなく予防がすべてです。

4)人間の心が育つ刷り込みの時期に、テレビ、ビデオ、電子おもちゃ、知育おもちゃ、テレビゲーム、CD、フラッシュカードは無意味です。

以上、日本小児科学会の「こどもの生活環境改善委員会」のメンバーであり、早くから「新しいタイプの言葉遅れ」に警鐘を鳴らしてきた川崎医科大学小児科教授 片岡直樹先生のお話より。

平成25年9月3日
院長コラム
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