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小1プロブレムとは

小学校に入学したばかりの1年生が、1)集団行動がとれない。2)授業中に座っていられない。3)先生の話を聞かない。などと学校生活になじめない状態が続くなどの問題点があきらかになってきました。
東京学芸大が2007年に実施した調査では、全国の2割の地域で確認され、他の2割の地域が「以前はあった」と回答しています。家庭のしつけが十分でないことや、自分をコントロールする力が身についていないことなどが主な原因とされています。
小学校第1学年の児童が学校生活に適応できないために起こす問題行動や不適応状態が継続することにより、クラス全体の授業が成立しない状況に陥っていることをさす場合もあります。
小学校入学直後、遊びから学びに生活の中心が変わり、幼児教育から小学校教育へ指導が一変する段差を乗り越えられないために起こる問題とされています。精神的な幼さから小学校での集団行動がとれず、その混乱を解消できないまま、教師の話を聞かない、指示に従わない、一定時間を静かに過ごすことができない状態に陥り、授業中かってに歩き回る、教室から出て行ってしまうなどの行動がみられます。小一プロブレムという名称は、新保真紀子(しんぽまきこ)(人権教育・学校臨床学、神戸親和女子大学教授)が1998年ごろに提起し、その後、問題が多くの教育現場で顕在化することになりました。
2009年(平成21)に東京都教育庁が発表した「公立小学校第1学年の児童の実態調査」によれば、4校に1校の割合で小1プロブレムが起きていて、児童の不適応状況はその6割近くが4月に発生し、いったん発生すると、その混乱状態が学年末まで継続するケースが5割を超えています。児童が小学校になじめない原因としては、児童にストレス耐性や基本的な生活習慣が身についていなかったことや家庭の教育力の低下、担任の指導が適切でなかったことなどがあげられています。
このことから、1)家庭での子どもの接し方、しつけ、個々の自立を促す工夫が必要。2)保育園、幼稚園と小学校のギャップをなくすための工夫。3)保育園、幼稚園と小学校の連携が必要となります。

家庭でできること

● 基本的生活習慣を身に付ける。規則正しい生活リズム(食事・睡眠等)・身辺整理(片付け・身支度・衛生等)
● 集団のルールを守る。日常のあいさつや安全への配慮(交通ルール・善悪の判断等)
● 集中して取り組む。嫌いなこと、苦手なことにも取り組む。
● 人の話を聞く。 相手の思いが分かる。
● 自分の思いを言葉にして伝える。嫌なことは嫌と言える。正しい言葉づかいをする。

情緒面では:
● 認められる体験、認められる満足感、その子のよさが発揮できる場を設ける。
● 自分が役に立っているという自己有用感をもつ。取り組んだことは、あきらめず最後までやり遂げようとする。
● 自分の思いをコントロールできる力を高める。多少、嫌なことでもみんなでしている時は、がまんできる。
● 友達と一緒に遊び、よい所は認め、悪いと思ったら謝ることができる。
● 自分が体験したことを言語化したり、何をしていきたいか表現したりする力を 身に付ける。
● 自分で考えようとする力を高める。 指示で動くのではなく、自分で考える力を付ける。生活や遊びの中で、時期・時間に関心をもって行動しようとする。
● 物事をとらえるとき、自分なりに理解しているかをチェックする力を高める。
● 人の話を落ち着いて聞き、行動に移すことができる。

幼稚園、保育園と小学校のギャップをなくす工夫

幼稚園、保育園でできること: 入学時に、子供たちが感じる段差として チャイム(時限)に区切られて行動する不自然さ・・・すぐに頭と心を切 り替えられない。 一人の教師対全ての子供という構図が多い教師が説明しすぎ、急がせすぎ・・・じっくりと待つことが必要。お昼寝をなくすのも大切。机について物事をこなす習慣をつける。お掃除の習慣も怠らない。

幼・保と小学校の連携

互いの教師が、子供の実態を把握するための参観をする。その上で、小学校側として配慮すること。幼・保の年長児は、できることがいっぱいあるので、小学校入学時でもいろいろさせてみる。その際、仕事が雑でもできていることを認めてやることが大事で ある。初めから細かい指導をしないように心がける。

● 幼・保の子供の清掃は、隅々をきれいにするとうよりも、技量的に も大ざっぱに部屋を掃除する程度である。しかし、それをできることと して認めてやることが大事である。
● 幼・保の先生の話し方の調子(ほわっと包み込む柔らかい声、トーンを落とし た声など)を参考にする。
● 幼・保での遊びの中で学んできたことを小学校の教科の中に生かしていくこと を考えなければいけない。
● 幼・保での動物とのふれあいや、植物・水などの自然の中での遊びを充実させることで、興味・関心をもたせる。それが、小学校での生活科の教科において、 よりかかわりを求め、気づ付きを広げていくことにつながっていく。
● 幼・保での劇遊びやお店屋さんごっこなど仲間と一緒に相談しながら遊びを創 っていく活動は、小学校で学級単位で話し合って学習していく姿につながる。
● 小学校入学直前の3学期は、文字や数に慣れ親しむ活動を多くしたり、椅子に座って一斉に話を聞く機会を多くしたりすることで、入学への期待を膨らませる。
● 入学当初は、自由活動(遊び)の時間を設定し、子供の欲求を満たすようにする。教師は、子供の姿をじっくりととらえる機会とする。入学当初は、補助担任などを設け、子供を偏った見方にならないように配慮していく必要がある。

いずれにせよ、すべてにおいて大切なのは、子どもの自主性を高めながら、笑顔を持って褒めながら育てることです。

平成27年12月6日 院長
院長コラム
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