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子どもの中耳炎に対する先進国での対応

さて、今月の話題は「中耳炎」を取り上げたいと思います。「中耳炎」に対する考え方、治療法が先進国であるアメリカやヨーロッパでは日本とでは開きがあるようです。そこで今回「子どもの中耳炎に対する先進国の対処の違い」を紹介したいと思います。
中耳炎は子どもの熱の原因としては最もポピュラーな病気で6ヶ月から2歳くらいのお子さんに高頻度でみられます。そもそも、この年齢は免疫上、風邪をひきやすかったり、鼻と耳をつなく耳管の働きが未熟なために起こりやすいようです。中耳炎とは鼓膜の内側の小さな空洞に膿みがたまったり液がたまったりして起こる病気のことです。主に急性中耳炎(ばい菌が入って膿みがたまる)と滲出性中耳炎(ばい菌はいないが液がたまる)の2つがあります。急性中耳炎は熱や痛み(痛みを伴わないこともある)、滲出性中耳炎は聴こえが悪いというのが主な症状です。
さて、中耳炎に対する世界で一番進んだ医療をしている国はどこだと思います?実はオランダです。アメリカも日本よりも進んでいますがオランダほど中耳炎に関するデータを持っておらず、最近、オランダ医療を取り入れる方向にあります。では、それぞれのお国事情を説明します。
まず、中耳炎はどんなにひどい中耳炎もほとんどが自然に治ってしまうということが分かっています。日本では中耳炎だったら早めに耳鼻科で切開するのが一番と思割れているかもしれませんね。しかし、先進国では日本のようなことはしていないのです。一番進んでいるオランダでは、中耳炎と診断しても抗生剤も使わずに鼓膜切開もせずに自然経過をみるのが一般的なのです。抗生剤の使用は30%といわれています。この背景には前述したように熱が出て耳垂れが出るような比較的ひどい中耳炎でも自然治癒するということ、それと、たび重なる抗生剤の使用により抗生剤の効かない耐性菌が出現していざ抗生剤を使おうとしても効かなくなる、という懸念があるからです。アメリカではどうかともうしますと、数年前までは抗生剤をすぐ使って治してゆく風潮がありましたが、オランダ医療に学んで「3日間は抗生剤なしで様子を見る」それでもひどくなるようであれば抗生剤を使うということになっています。しかし、日本のように鼓膜切開は頻繁ではなく、まれな医療行為なのです。あくまで、抗生剤の5-10日ほどの内服治療が主流です。鼓膜切開+抗生剤内服した場合と抗生剤内服治療のみ、の治るまでの期間の差はないという報告もあります。さて、日本の事情ですが皆様もご経験があると思いますが(きのした小児科ではアメリカ式に近い)、高熱や痛みを伴う中耳炎にはほとんどと行って良いほど鼓膜切開が常識になっているように思います。私も学生の頃は中耳炎=鼓膜切開という風に学んできました。今、日本ではもっと先進国の医療を学ぶべきではないかと思っています。数年後にはおそらくアメリカ医療が常識になり十年も経てばオランダ医療が中心になっているかもしれません。また、急性中耳炎をたびたび起こして困る場合は、オランダでは積極的にアデノイドをとって、鼓膜にチューブを入れる手術を「日帰り」で行っているようです。
私は、現在、中耳炎を発見した場合は高熱や痛みを伴うものでも、抗生剤(アモキシリン:サワシリンやワイドシリン、メイアクト)を通常量の倍量、その他、オゼックス、オラペネム、クラバモックスなどを使用して経過をみます。使用期間は5-10日です。それで、たいがいの人は治ってしまいます。効果がない人は他の薬剤に変更します。痛みに対しては熱がなくても解熱鎮痛剤(熱冷まし)を使用していただきます。「中耳炎ですが薬でなんとか治ると思いますので、また来てください」と申し上げても、「心配だったから、耳鼻科に行ったら、膿みがたまっているので切った方が早いといわれ、そうしたらすぐ良くなった」といって喜んで(?)いらっしゃる方もいらっしゃいます。とても残念なことです。しかも子どもは無理矢理に押さえつけられ、とても痛い鼓膜切開を受けてしまい、心におおきな「トラウマ」をおってしまうことも多々あります。 耳の聴こえが一時的に悪くなる滲出性中耳炎も3ヶ月くらいで自然に治るとアメリカの教科書には書いてありますが、今のところ私は耳鼻科の先生に紹介しています。
今回、中耳炎に対する先進国の医療を紹介しましたがいかがでしたでしょうか?日々医療はすすんでいますよ。固定概念にとらわれないようにしましょう!

平成19年1月8日 きのした小児科 木下昇平
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