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インフルエンザの流行期にあって医師は何を考えて診察しているのか

久しぶりのニュースレターでございます。インフルエンザが流行する今、私が何を考え診療にあたっているのかをお伝えしたいと思います。

 インフルエンザが流行してくると怪しい人には鼻からの痛い検査をしなくてはなりません。ただし検査するためには、一定の条件が必要です。

ご存知だと思いますが、発症してすぐに検査するとインフルエンザであっても陰性に出ることがあります。

では、いつ検査するのがベストなのでしょう?発症から12時間以内は陽性率20%ほど、12時間―24時間未満はグレーゾーン、24時間経過してからがベストと言われています。

発症とは何をもって発症というのでしょうか?それは発熱(微熱を含む)だけの場合もありえますし、倦怠感もスタートかもしれません。ただし子どもの場合、倦怠感はわかりにくいため、微熱があって元気がないなどを含むと考えたほうがいいでしょう。

上記を踏まえて私たち医師は検査を進めていくのですが、困るのが12−24時間未満です。ご家族は早く知りたい、私たちも陽性になるんだったら検査してあげたい。

しかし陰性と出た場合は、次の日の検査となり、また痛い思いをさせることになり、しかも保険が通らないケースが出てきます。

お子様の検査をするタイミングに常に悩まされています。

もちろん他の病気も考えています。熱だけで元気である場合は(アデノウイルス感染を含むウイルス性の風邪(抗生剤が効かない)、喉を痛がる場合は溶連菌感染症、小さいお子さんであれば突発性発疹症、中耳炎もありえます。また元気がない場合は、何らかの細菌感染の可能性があるため採血して炎症反応(血液中白血球数やCRP)をみたり尿の検査(尿路感染症がないか)なども考えます。

発熱があって咳がひどい場合はマイコプラズマ肺炎も疑うことになります。発熱があってぜいぜい言っている場合にはRSウイルス感染症やヒトメタニウモウイルス感染症もあります。

 とにかく、数分の診察でこの中からいくつか可能性の高い病気から疑い、検査をしていくことになります。お子さんにとって1日目ではわからない病気(アデノウイルス、RSウイルス、ヒトメタニュウモウイルスなど)の検査は後回しになります。

 24時間未満で、喉が痛くて発熱だけで元気があれば、まずは喉の観察、鼓膜の観察、溶連菌感染チェックが先になります。翌日がお休みの場合は、12時間以上経っていて、周りにインフルエンザの方がいるようであればインフルエンザの検査もする場合もあります。

 24時間以上経ってインフルエンザでなかった場合(コロナ検査も同じキットでできます)が振り出しに戻ります。上記の記した病気を疑っていきます。採血し炎症反応(前述)をチェックし高い場合は二次病院への紹介が必要になります。川崎病や、入院が必要な病気であったりします。炎症反応が正常の場合はやはりかぜか小さいお子さんは突発性発疹症もあります。

 インフルエンザ検査ですが、最近ではnodokaという咽頭(のど)にカメラを当ててインフルエンザの診断をする「痛くない」AI搭載型インフルエンザ検査器が発売されています。12時間以内も診断可能と言われていますが、年齢が6歳以上、A型かB型かがわからない、コロナは分からない、技術的な問題もあり当医院では検討中でございます。。

 追伸:当医院では、抗生剤、咳止め、鼻水止めの乱用は控えております。詳しくは過去のコラムからご覧ください。

 令和7年11月30日  院長

院長コラム
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